1.「歴史の論争について―映画『羅生門』と原作の小説の比較を鑑賞する」（周興傑 学術交流.2005 ）

この文章では、『羅生門』は映画も同名小説も生死と善し悪しの織り成す矛盾した意味を体現する。しかし、映画は小説を再創作することだ。小説の叙事は二元対立の結構で、映画の叙事は三元対立の結構だ。重大な脚色の原因はふたり芸術家の主旨で相違的に追うだけでなく、歴史の意味の相違もある。それは私たちに脚色が原作を尊重し、内心の精神の発掘を重視する。

2.「芥川龍の介の原作から映画『羅生門』を分析する」（周艶恵［Ｊ］,电影文学，2014,15：70-71）

この文章は、監督の黒澤明は『羅生門』から一躍有名になった。彼の成功が世界で人間は黒澤明と彼の映画を覚えた。同時に世界範囲内で芥川龍之介の文学の研究のブームを巻き起こした。実は映画『羅生門』は芥川龍之介の原作『藪の中』と『羅生門』の完璧な結合だ。もし小説『藪の中』は映画『羅生門』の素晴らしい脚本を提供し、小説『羅生門』はステージと他の重要な人物―下人を提供した。本文は芥川龍之介のふたり小説から映画『羅生門』を分析して、『羅生門』の精妙な脚本のところを検討する。

3.「芥川龍の介の小説から黒澤明の映画まで―『羅生門』の分析する』（柴宝芬、2009，02:１75）

『羅生門』は日本で作家芥川龍之介の代表の作品。国際映画大家の黒澤明は小説『羅生門』が素材として映画『羅生門』を監督した。また、国際で多くのメダルを獲得した。小説としての『羅生門』と映画『羅生門』としての『羅生門』を比較する。

4.「映画『羅生門』の表象文化論の考察」（石浜昌広 ）

　この文章は、その素材と成り立ちから見直すことによって、再表現としてのこの作品のベクトルを確かめるということが小論の目的である。

　素材としては一般に芥川龍之介の『藪の中』が挙げられることが多いが、これに同じ作者の『羅生門』を加え、その加工的階段に橋本忍脚本と黒澤明脚本がある。芥川龍之介は更に今昔物語集の二三の短編とビアスの『月明りの道』をその素材としている。その構造を、戦後日本の映画のみならず社会的、政治的状況に映し直してみたい。

5.「『羅生門偸盗地獄変往生絵巻』（講談社文庫）」(海老井英次　講談社文庫)

この文章では、『羅生門』は芥川龍之介の短編小説。1915年（大正4）11月『帝国文学』に柳川隆之介の筆名で発表。のち一部改作され、『鼻』（1918刊）所収作品が定稿となっている。『今昔物語集』巻第29第18「羅城門に登上層見死人盗人語を原典として創作されている。主人の家から暇を出された主人公は、明日の寝食にも窮して盗人になることを思いながらためらっていたが、羅生門で出会った猿のような老婆から、生きるためには悪が許されていることを教えられ、老婆の着物を奪い取って闇のなかに姿を消していった。歴史小説の形をとっているが、状況次第では悪をも選択するエゴイズムと、それを肯定せざるをえない人間のあり方を描いた心理ドラマの性格が強い作品である。初期の作品ながら高い完成度を示しており、近代短編小説を代表する一編である。

6. 「黒澤明監督『羅生門』と母性」(水口紀勢子 2010）

この論文では、今年2010年が、映画監督黒澤明の生誕100年であることを祝い、彼の作品と人を解雇するメデイアの試みが、活発に展開されている。生前の対談の再放映があり、「わが心の黒澤明　インタビュー」という撮影時の回顧話を紹介する、俳優インタビューのＴＶ番組が組まれ、これまでに見逃した、戦後まもない作品の放映が、贅沢なほどに繰り返されている。

これに加えて、映画研究者の貴重なに次資料に欠かせないのが、映画作製当事者の明かす裏話であり、封切時の観客の反応であり、評者の反応などである。それを得るには、数十年前の映画関連の雑誌記事が、頼みの網になる。予期しない研究ヒントを、一行でも見つけられるのが、褐色に変わり果て、閲覧者の手垢を残す、雑誌類である。そのほどんどが、大学図書館には収蔵されない。黒澤明の生誕100年を意識したのでもあろうか、これらの古い記事を収 集、転載する最近の出版物の登場により、ねらう探しものに出会える可能 性が身近になった。新たな研究資料から洞察を得て、各自のテーマを有機 化できるのは、また、これを共有できるだけでも、黒澤ファンには心強 い。さらに話題を集めるのが、東京国立近代フィルムセンターと米アカデミ ィフィルムアーカイヴに角川文化振興財団のコラボレイションによる、 映画『羅生門』（1950）のデジタル復元である。経年劣化を修復すること により、60年前、国内外の観客の度肝を抜いた前代未聞の宇宙が、2010年 の今日の観客の前に、鮮やかに蘇生する。芥川龍之介原作『藪の中』の人間ドラマを、フィルムに写し替えた、光と影の競演 / 饗宴を、『羅生門〔デ ジタル完全版〕』が、半世紀を超えて再来させるのである。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞獲得、という吉報を受けた時、黒澤監 督に、「絶対キャメラ賞だと思った」と言わせた、凝りかたである^1）。宮 川カメラマンの功績を讃えるための受賞だ、と監督を信じ込ませた出来栄 えには、冒頭から誰もが魅了される。監督のリクエストに奮い立ち、発揮 された、並はずれの努力と執念と才覚は、初めて組む監督を感心させ、満 足させていたという。なるほど、触覚と嗅覚まで写す光学的野望に、我々はひたすら驚嘆す る。さらにダイナミックな、『七人の侍』（'54）の登壇により、人気ラン キングから落ちはしたが、『羅生門』評価の実質に、大きな変動は無い、 としてよいのであろう。これまでも、多岐な視座に立ち、内外の多くの人 が語り尽くしたが、その著書と論文に母性の言説のゆとりは、微少と見え る。本稿では、この機に映画『羅生門』を見直して、父性を強意するエン ディングをめぐり、母性テクストを活性化する余地が、まだ残されている のかを検討する。